玉造小劇店はお芝居を提供するお店です。
「お見合」の名物キャラとして君臨する、中井のおばちゃん。
再演を重ね、設定や登場人物が変わっても、中井のおばちゃんだけは変わらない。その中井のおばちゃんはどうしてできたのだろうか?そのエピソードを紹介しましょう・・・。
お見合の初演は1997年5月~6月。
ラックシステムは、その当時「エチュード稽古」というのを採用していました。
エチュードとは、役者に設定やお題を与え自由に演じさせる即興稽古。
当時、ラックシステムはそのエチュードから生まれる役者のおもしろい発言や、キャラクターなどを台本に採用していくという手法を取っていたのです。
【お花見】【お正月】【お祝い】なども、その方式をとった作品。
「お見合」の定番として、初演当時から行われてきたのが、出演者が演出に指定された相手とデートをするという稽古です。
指定された日時に、誰かと食事をし、結婚について話をしてくるというエチュード。
まさしく、仮のお見合!もちろん後日、その報告会が行われるのです。
初演の稽古で、元劇団員の中井重文さんが周旋人のおばちゃんを演じました。
その時のキャラクターが面白かったので、台本に登場し「中井のおばちゃん」が誕生!
再演時、「中井のおばちゃん」の下の名前が決定しました!
その名も「中井しずか」。
実は、その当時玉造小劇店で制作事務をしていた中井重文さんの奥さんの名前。(写真をご覧の通り超美人!)
しずかさんは子供の頃から「しずかちゃん名前はしずかやのに全然静かちゃうねぇ。」と言われて育ったほど、お喋り。
中井のおばちゃんのイメージにぴったりだったのです。
以下、前回の舞台に登場した「中井しずか」が名前を語るシーン。
中井:分かってる、分かってるって。おばちゃんを誰やと思うてるのん?口が堅いことでは西日本一の中井しずかやで。
祐希:おばちゃん・・・しずかって言う名前なん?
中井:そうや、名は体をあらわしてるやろう?
祐希:ほんまやねぇ。
・・・・・・中略・・・・・・
祐希:おばちゃん、さっきのこと、ほんまに内緒にしといてね。
中井:任しときって。
祐希:中井しずかやもんな・・・。
本物のしずかさん・・・ごめんなさい。
まったく、こんな具合で座長は自分の周りの人間の話をギャグ化してしまいます!
余談ですが・・・「お見合~ココロノ春ガ来ル」には最後「中井のおばちゃん」の息子が出てきます。その息子の名は、基介(もとすけ)。実際の中井重文・しずか夫妻のご長男も「もとすけ」君なのです。
いい加減にしろ~!作家だったら、誰を利用してもいいのか~!
つまりは、中井重文さんがエチュードで作ったキャラクターを朝深大介が舞台で「伝説の怪物おばちゃん」に仕立て上げた!という、実例です。ちなみに初演時に登場した「潜水艦のソナー技師」は朝深がエチュードで作り、当時役者だった中井重文さんが舞台で演じたのです!
二人は役を交換していたんですね~。
中井のおばちゃん。(写真右)
見た目はおっさんですが、だんだんおばちゃんに見えてくるんですから演劇って不思議です。
さて、今回は誰がどの役を演じるのでしょうか?それは、作家のみぞ知ることです!
いや、演出家のみぞ知ることですか?でもきっと、あの役は変わりません。
サービスショット
実は座長夫妻は、中井夫妻の仲人だったんですね~。
朝深さん、ガラ悪い(笑)
しずかさん、お綺麗です!